等価地球半径について
電波と光の屈折率は異なる
2020年6月28日
 山岳展望、遠距離の展望の場合、便宜的に地球半径を拡大するが、その時にいわゆる「等価地球半径」の値を使ってはいけない。電波の場合は4/3倍するが、光の場合はもう少し小さく、1.156倍を標準とする。
 光、つまり山岳展望の場合も「等価地球半径」の値で説明しているサイトなどを見かけるので要注意である。
 なお、「等価地球半径」とは、「大気の密度の違いにより屈折する電波を、直進すると見なして、実際より4/3倍した地球の半径のこと」とする。少なくともネットでは辞書風の説明がなかったので、便宜的にこのようにした。
■両者を区分した文献
 ほとんど見かけることはないが(見つけていないが)、「電波研究所季報」11巻52号(1965年)に、以下の内容があった。
 灯台のサービス半径40qというのが光の到達範囲である。
 レーダが探知できる平均42q(46q)というのが電波の到達範囲である。
 電波の方が長い。つまりそれだけ地球をフラットにしている(地球半径を大きくしている)ということである。
 読み取りは困難と思うが、図10、11も掲載する。
■カシミール3Dによる検証
 地図ソフト「カシミール3D」は、標準値として地球半径を1.156倍している。
 見える範囲を「可視マップ」として地図化できる。標高100mの地点の可視マップを作成して、到達距離を測定してみた。

 富山湾の仏島を仮に標高100mとして可視マップを作成した。
(図はいずれも「カシミール3D」による)

標準値の場合 38q (上記資料より2q短い)
紫が可視マップ。海上も計算できるが、データの関係で描けない海域もある。×が可視マップの限界。そこまでの距離を計測すると38.359qとなった。

電波の場合 41q (上記資料の2月は42q)
カシミール3Dでは大気差の値(今回の文脈では等価地球半径の係数と言ってもよい)を自由に設定できる。標準値を1.333倍にした結果がこちらである。
41.182qとなり、明らかに伸びていることがわかる。


念のため両者の合成
電波の方が長いことがわかる。若干値の違いはあるが、上記資料を裏付ける結果になった。
■結論
 遠距離の山岳展望にいわゆる等価地球半径を用いると、見えないはずの山などを見えてしまうと判断することになる。地球半径を補正しないのは誤りだが、過ぎたるは及ばざるがごとしでもある。
 地球半径を1.156倍に拡大する。これが山岳展望の基本である。
参考資料
小サイト「富士山が見える限界の考え方」
   http://yamao.lolipop.jp/fuji/14/genkaikyori.htm
小著『山岳展望の楽しみ方』より
田代博のホームページ