甲府市舞鶴城公園 天守台の展望図の問題点
2014年12月15日調査
2014年12月
甲府駅に南口にある舞鶴城公園は、交通至便、展望抜群の、山都甲府にふさわしい絶好の展望ポイントである。改札口を出て、小走りに行けば、5分で天守台にたどり着けるのではないだろうか。
その天守台には4箇所展望板が設置してある。コンピュータグラフィックによるなかなか精密な描画の案内図であるが、致命的とも言える問題点がある。

まずは、全体的な案内から。
舞鶴城公園 甲府市のウェブサイトより
入口に標柱
案内図
上がっていくとすぐに富士山がお出迎え
天守台
天守台からは360度の展望
方位板は4箇所にある。
北面
東面
南面
西面
注記もそれなりにあり、なかなか良さそうな案内図のように見えるが、「致命的とも言える問題点」とな何だろうか。以下をご覧いただきたい。
要するに、天守台の位置、訪問者が目にしている位置からではなく、約85m上空に上がったとしてのCGなのである。
CGでは視点を自由に設定できる。なぜ85m上がる必要があったのだろうか。
たかが85mと思われるかもしれないが、山が近いが故に、この高さの違いは大きな影響を与える。
東面の案内図と実景を比較して頂きたい。

東面の一部
実写
案内図には県立科学館の後に山並みが見えるが、実景ではその尾根がスカイラインを作っている。背景の大菩薩の山並みはここからは見えないのである。

カシミール3DによるCG  地上2mとして描画
実景と同じCGになった。愛宕山の注記が、県立科学館になる。
地上85mとして描画
 当然ながら、案内図と同じ景観になる。注意して欲しいのは地名である。カシミール3Dでは、指示線の先端が見かけの高さの位置を示している。案内板にある大菩薩峠、大菩薩嶺、小金沢山、源治郎岳、棚横手山、大蔵高丸はいずれも稜線の下に来ている。つまり見えないのである。案内図もそのことは考慮しているようで、実際に見える大蔵経寺山には先端に▲(矢尻)をつけている。但し、そのことは明示していない。
また、この図と比較して頂ければわかるが、案内図では、指示線が稜線にぶつかった位置の真下のどこかに、山頂があるのである。どの位下がったところにあるのかは、このカシミールの図と比較しないかぎりわからない。どこに山頂があるかわからないような山を、たとえ山梨百名山に入っているからとは言え、示す必要があるのか、疑問である。
視点が地上ではなく、なぜか85m上空にあり、見える山と見えない山の区別はしてあるらしいことはわかった。では方面毎にその通りになっているか検証してみよう。

西面
左半分 市街地はカット
笹山は見えないが、山梨百名山なので、注記が入っている。
赤石岳は見えないが日本百名山なので、入っている。赤石岳本峰は見えないが、実は小赤石岳は見えている。図にも描かれているし、下の実写の白い点がそうである。下に示す。
実写
間ノ岳は雲の中だが、実際には見えている。
カシミール3DによるCG
小赤石岳
鞍部から見える山のコレクションに入れたい一つである。
右半分 市街地はカット
間違いが2箇所ある。仙丈ヶ岳とアサヨ峰を見えるとしていること(▲の矢尻がついている)。下にカシミール3DによるCGを示すが、稜線にぶつかった真下である。仙丈ヶ岳が見えると誤解する人は少ないと思うが、致命的ミスである。
実写
カシミール3DによるCG
鋸岳の注記を入れ忘れたが、見えている。
拡大図
仙丈ヶ岳とアサヨ峰は見えない。
南面
左半分
(2013年10月5日撮影分を使用)
こちらは特に問題はない。例によって見えない竜ヶ岳が山梨百名山なので描いてある程度である。
実写
カシミール3DによるCG
右半分
(2013年10月5日撮影分を使用)
こちらも特に問題は無い。目立つ山で注記の無い山を付け加えておいた。
実写
カシミール3DによるCG
北面
左半分
最初に、東面の一部について記したように、近い場合85mの影響は大きい。それによる問題が生じ、かつ何故こうしたミスが起こったのか信じられない誤りがある。複数のミスが重なっている。
例によって見える山には▲の矢尻がついているが、赤岳(八ヶ岳)が矢尻付きで示されている。しかし、実写でも地上2mのカシミール画像でも表示されない。つまり見えないのである。
85m上空では確かにピークが現れる。しかしそれは赤岳ではなく編笠山なのである。
実際には見えない山を見えるとして描き、しかもその名称が違っている。誠に遺憾である。
実写
カシミール3DによるCG(地上2m)
カシミール3DによるCG(地上85m)
右半分
実際には見えない山名などを記すよりは、手前の山々には地元では呼ばれている名称があるだろうから、それをこそ記して欲しい。
実写
 以上、展望案内図を実写とカシミール3DによるCGをもとに比較し、検証してきた。一部の図については記載をしていないが、概要はお分かりいただけるだろう。

 問題点を整理すると次のようになる。

1.視点を地上85mの高さにしているため、当然ながら実景と一致しない。特に山が近い北面、東面において違いが大きい。視点をそのような高さにした根拠が全く理解できない。

2.見える山と見えない山を区別して記載しているが、区別にミスがある。また、見えない山の指示線の処理に問題がある(山稜にぶつかったその地点の真下のどこかにその山があるのだが、その旨が記されていない)。そもそも、区別していること自体が、明示されていない。

3.北面の赤岳のように、本来は見えないのに、85m上空からの描画のために見えるように描かれ、その上、本来は編笠山であるのに赤岳と記載するという二重の誤りがある。繰り返すが、視点を85mにしたことが間違いを誘発する根本原因であり、それによる象徴的な誤りがこの例と言えよう。

4.山梨百名山に対するこだわりにも一因があるように思える(見えない山をあえて記すということ)。

 舞鶴城公園は、”山都”甲府にふさわしく、このような展望案内板があるのは誠に好ましいことである。しかし、このままでは山岳展望に関心を持つ来訪者を困惑させるだけである。”山都”甲府の名誉にも関わる問題でもある。早急に訂正されることを望むものである。
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