滋賀県蛇谷ヶ峰から254q彼方の富士山を撮った!
2020年1月22日
2020年1月
1.比良山地北端の蛇谷ヶ峰(じゃたにがみね 902m)から254q彼方の富士山剣ヶ峯が2020年1月19日撮影された(超遠望の富士)。
2.撮影者:森翼さん。報告はこちら。ヤマレコ「蛇谷ヶ峰から見る富士山
3.滋賀県から富士山が見えるポイントは僅かで極めて貴重。
4.マニア(山岳展望研究家)は、理論上は見えると述べていたが、目撃証言や証拠写真はなく、それが実証されたのは非常に価値がある(下に実証過程を示す)。
5.通常の大気の条件では見えないが、冬場には大気の屈折率が変化し、遠くの山が浮き上がって見えることがある。そうでないと見ることはできなかった。
6.西側から富士山を見るので、夜明け前でないと見ることができない。太陽が昇ると逆光になってしまう。冬場のその時間帯に山頂にいなければ撮影できないので、たやすいことではない。撮影の難しさという点からも今回の快挙は特筆に値する。
滋賀県には富士山が見えるポイントは僅かしかありません。その中で、比良山地北端の蛇谷ヶ峰(高島市、標高902m、「比良連山の北端にそびえる大きく風格ある山」)は貴重なポイントです。
富士山までは254q。山頂からの展望は良いのですが、目撃証言や証拠写真はありませんでした。カシミール3Dで展望図を作成すると、通常の大気差では残念ながら富士山は表示されません。大気差を1.20とすると、かろうじて剣ヶ峯が現れる(隠されない、と言った方が正確です)といった厳しい状況です。
証拠写真 (写真は撮影者の森翼さん提供)
中央の鞍部のピークが剣ヶ峯!
●カシミール3DによるCG
●両者の合成1
●両者の合成2
実は森さんもCGを作製されていました。それとご本人の実写を合成しました。もちろん一致しています。
●蛇谷ヶ峰付近の富士山可視マップ1
「富士山ココ」による(日本地図センターが提供する富士山可視マップを閲覧できるWeb地図)富士山可視マップ。山頂の南側に微かにポイントがあります。なお左下は、京都府から見える限界の場所です。
アップにして、位置情報を表示し、富士山への方位線を描いたもの。「富士山ココ」ではこうした操作もできます。
●蛇谷ヶ峰付近の富士山可視マップ1
カシミール3D スーパー地形セットiPhone版より 同様に、山頂南側に可視エリアがあります。
これらの可視マップはいずれも通常の大気差で作製されたものです。つまり、通常は山頂からは富士山は見えないのです。
●カシミール3Dによる展望図の描画(10mメッシュ使用)。
カシミール3Dにより展望図を描きました。
山頂からはやはり富士山は見えません。
大気の屈折率を変更してみました。気象条件によっては、大気の屈折率が大きくなり、遠くの山が浮き上がって見えることがあります。カシミール3Dでは、係数をかえてそれをシミュレーションすることができます。通常の値は1.156なのですが、大きくして1.20にしてみました。経験的に冬場に見られる現象です。確かに、剣ヶ峯がでてきました。上の画像はこれを用いたものです。
繰り返しになりますが、滋賀県から富士山は僅かしか見えません(小サイト参照)。蛇谷ヶ峰から撮られた写真は、山岳展望ソフトによるCGと完全に一致し、富士山(剣ヶ峯)であることは間違いありません。254qの彼方から明瞭な剣ヶ峯をとらえた今回の撮影は、日本の山岳展望史上に残る快挙と言えるでしょう。
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