三頭山は一頭山?!
2019年3月
▲三頭山の由来
三頭山という名前からどのような形の山を想像されるでしょうか。
一般的には次のような説明がされています。
3つの頂上があるので三頭山と言う。西峰(1,527m)・中央峰(1,531m)・東峰(1,528m)があり、三角点は東峰に置かれている」(ウィキペディア)。
名前のとおり、3つの峰を持っています」(日本山岳会奥多摩支部「三頭山/都民の森」)。

▲見え方
実際に3つの峰が見えるのでしょうか。
下は横浜から見たものです(横浜ランドマークタワー 距離約65q。2019年1月3日撮影)。
中央のピークが三頭山なのですが、3つの峰が識別できるでしょうか。カシミール3Dで対応するCGを作成しました。
この状態を見て、ピークが3つあると思うでしょうか。
手元にある写真からもう一つ紹介します。世田谷区のキャロットタワーから見た者です。中央が三頭山ですが、ピークを3つ指摘するのは困難ではないでしょうか。
▲地図
地図ではどう表現されているか、見てみましょう。
下は昭文社の山と高原地図「奥多摩」(デジタル版)です。これには東峰はありません。
ヤマケイオンラインの「三頭山」の地図はこちらです。三角点のある場所が東峰になっています。

念のため地理院地図を見てみます。
地理院地図には個々のピークについての注記ははありません。メインのピークと見なされている西峰については、地図からは何もわかりません。なお、1531mの標高が記されているのは中央峰で、東峰は三角点があるとこです。いずれにせよ、「3つの頂上」についての明示的な記載はなく、総称として「三頭山」が記載されているだけです。
上記と範囲は若干違いますが、カシミール3Dの「地理院地図+スーパー地形」で表示したものです。
赤い線に沿った断面図がこちらです。鞍部(御堂峠)から西峰、中央峰とも約20mの比高はあるので、一応ピークをなしているとは言えますが(いうまでもなくこの断面図は垂直方向を拡大しています)、譲っても「二頭山」がよいところではないでしょうか。
▲現地の標識
現地には、各ピークに標識があります(こちら参照)。
立派な標識があるのは、実は地形図(地理院地図)には何の記載もない西峰なのです。西峰であることは記されておらず(標高は書いてあります)、これだけ見れば、まさにここが三頭山山頂だ!と思うでしょう(2019年3月8日知人撮影)。
とりあえずの結論
三頭山は見た目はピークは一つだけ、と考えるのが自然です。地図からもそのように判断できます。「3つの頂上があると言えるほどの際だった地形ではありません。今ついている名前の字面に引きづられて山名の由来を説明するのは、実態と異なり、不適切です。
鞍部の御堂峠が、三頭山の由来になったという説もあります(ヤマレコ「御堂峠」)。それは考えられることです。三頭だから三つピークを見つけなければならない。それで無理に今のように三つピークを作ったのではないでしょうか。そして実態(見た目)を考えれば不自然であるにも関わらず(実態を見ること無く)、上記のように字面に引きづられて、三つピークがあるから三頭山と説明してしまったのではないでしょうか。
今更、三頭山の名前を一頭山に変えることはできませんが、三つのピークに由来するという実態にそぐわない説明は改めて欲しいと思います。

なお、標識のある三つの地点の表現についてはかねてより問題がありました。2005年に小文をWeb上に公開しています。その後の進展はありませんが、資料としてご紹介しておきます。
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