北陸新幹線のバックの山は「立山連峰」か?
2015年3月15日  3月29日追記
3月15日の「朝日」1面、「しんぶん赤旗」14面に、北陸新幹線とそのバックに「立山連峰」の縦長の写真が掲載されています。下左の写真は、朝日のデジタル版から引用しました。「後方は立山連峰」と記載してあります。赤旗も同様です。

新聞(紙)の写真ではあまり明瞭ではなかったのですが、いわゆる立山にしては手前との関係で高い山ではないように思いました。デジタル版を見て(下左の写真)、ますますその思いを強くしました。

こういう時の確認に使えるのが地図総合ソフト「カシミール3D」です。
問題は視点です。どこから見た写真なのか、両紙とも書いてありません。空撮にしては高くありません。

何より特徴的だったのは、私が見た2紙の写真がほとんど同じであることです(他紙でも同様の写真が載っているかもしれませんが)。よ〜く見てみれば、先頭車両と架線柱との隙間が若干違う程度(朝日はほぼくっついているが、赤旗は2o程度離れている)で、配信元が共通なのかと思ったほどです。しかし、朝日には撮影者が書いてあり、もちろんそれぞれ別個に撮ったものす。

とすれば、地上からでしょう。線路の向きを含めて立山連峰の展望台とくれば呉羽山が候補に挙がります。カシミール3Dの描画地点を呉羽山として描いたのが下右の図です。見事に一致しました。2紙の写真がほとんど同一だったことも納得できます。

写真のメインの山は、大辻山です(標高1361m)。ヤマケイオンラインの説明を引用しましょう。

大辻山は立山連峰の前衛峰で、背後に北アルプスが連立するのでスカイラインには現れにくいが、山沿いから望むと鋭峰である。そのため昔は烏帽子山とも呼ばれた。

立山連峰の前衛峰であれば、100%誤りとは言えませんが、誤解を招く不適切な表現と言わざるを得ません。


呉羽山と富山駅の位置関係(地理院地図使用)
ちなみに、呉羽山から立山連峰はどのように見えるのでしょうか。以下はカシミール3DによるCGです。当日は立山(約41q)までは見えていなかったのでしょうね。従って、背後の山がなければ、一見鋭鋒に見える大辻山を、つい立山連峰と判断してしまったのではないでしょうか。
なお、上の大辻山のCGは、遠景を描画しないようにしています。カシミール3Dはそのような調整が可能です。
呉羽山から見た立山連峰方面
大辻山と立山連峰の位置関係(山旅倶楽部の地図を使用)
短時間に作業をしなければならない新聞なので、大変とは思いますが、記事に求められるのは何より正確さです。今回の場合、確認が間に合わなければ「立山連峰」としないで、「立山方面」とする便法もあったので(^_^;)(好ましくはありませんが、立山連峰よりは良いでしょう)、検討していただきたいと思います。
両紙の写真をもう一度見直してみました。キャプションは、朝日は「金沢駅方面から富山駅に向かう」となっています。赤旗は「富山駅を発車した」となっています。進行方向が逆ですね。改めて写真を見てみると確かに車輌の位置が違います。朝日は、左側の線路を走っていますね。赤旗は右側を走っています。両者はその点でも同じ写真ではありませんでした(^_^;)。
上で、「先頭車両と架線柱との隙間が若干違う程度(朝日はほぼくっついているが・・・」と書きましたが、朝日は最後尾車輌でした。訂正いたします。
3月29日追記 
3月26〜28日、富山を訪れました。件の呉羽山にも行き、確認してきました。撮影地点もわかりました。内容的には上記の通りでした。確認の意味で、追記をします。 
 
呉羽山の地図(部分) 
 
 いわゆる展望台
 写真中央は剱岳、右端が立山です。これなら「立山連峰」と書いて間違いありません。
ここからは、北陸新幹線は横に見ることになります。
従って、鉄道マニアは、北東に約450m進んだポイントから狙います。
このように何人も集まっています。 
 
線路がカーブしているので、電車を正面からとらえることができます。 
この写真に、新聞掲載の写真の範囲を重ねてみました。 
 
 
新幹線を大きく見せるにはトリミングが必要ですが、この枠の中だけで「立山連峰」と呼ぶのはやはりおかしいという結論を再確認しました。当日、このように見えていなかったのでしょう。もし見えていたら扱いは異なったはずです。
 
 
(資料)朝日新聞2015年3月15日掲載の立山の写真(再掲)(デジタル版より引用)
 
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