はじめに
本に掲載されている内容と少し異なります。
前著『知って楽しい地図の話』が刊行されてから10年以上が経ちました。
 その間に地図の世界にも色々な変化がありました。何と言っても一番大きいのはアナログからデジタルへの移行です。

 前著では「第4章パソコンで地図を楽しむ」でこのことを扱っていましたが、モバイル機器の普及と相まって大幅な手直しが必要になりました。また、大学の講義のテキストとして使用するなかで、学生の皆さんから率直な意見も聞きました。
 42年間、高校で地理を担当してきたことの総決算と、大学での講義と、新しい職場である一般財団法人日本地図センターでの経験をもとに、前著で扱っていなかった分野を含め、2冊併せて読んでいただければ地図の全体像がわかるように心がけて本書を記しました。 
 
 多くの資料にあたり、通説にそったわかりやすい説明を心がけましたが、中には独自な観点で私見、試案を述べた箇所もあります。また、体験を踏まえた読み物風の記述もあることをご承知おき下さい。地図の雑誌などに発表したものを再構成して収録したところもあります。
 各章の概要は次の通りです。


第1章 社会と向き合う地図
 地図の基本は未知の案内=道内です。しかし、相次ぐ災害を通して地図が命と生活を守る不可欠のツールである(べき)という認識が高まってきたのではないでしょうか。
「見える化」という言葉をよく目にするようになりました。地表で生じる諸現象を見える化したものが地図にほかなりません。
 地図化することにより因果関係を明らかにできることもあります。命と生活を守る地図の役割について考えていきましょう。

第2章 地形図と地理院地図
 2013年、半世紀ぶりに2万5千分1地形図が一新されました。教科書的になりますが、その新しい地形図について、記号や図式などの基本、特徴を理解しましょう。国土地理院はこうした紙地図を発行していますが、デジタルにシフトしています。その中心になる「地理院地図」について、経過を含め説明します。さらに地形図(旧版地形図を含む)を使って代表的な地形を読み取り、紙上エクスカーションをしましょう。旧版地形図を使えば、過去の地表の様子を知ることができます。

第3章 地図の歴史
 何事も、歴史があって今があります。文字の歴史よりも地図は古いと言われますが、その地図は時代の影響を色濃く受けています。世界と日本の地図の歴史を通史的に解説します。地図投影法の歴史について詳しく述べているのが特徴です。

第4章 スマホと地図アプリ
 デジタル地図についての説明です。冒頭で記したように、地図の世界で一番大きく変わったところです。第2章とも関わってきます。こちらでは、自らの体験を踏まえた記述になっています。特にスマホに興味・関心はあるが持つことを躊躇している同世代の方にご覧いただきたいと思います。

第5章 地名と世界の地図
 地図の重要な要素の一つは、実は地名です。地名をどう表現するかにより地図の見栄え、使い勝手は大きく異なってきます。また地名表記には政治的、社会的な影響も強く表れます。地形図を念頭に、地名はどのように選ばれ表現されているのかを記します。また、外国地名をめぐる問題について説明します。
 外国の文字がわからなくても地図は読めると言われます。世界のいくつかの国について、実際の地図を紹介しながら、世界の地図事情の一端を説明します。世界の地図を手に入れる(購入する)
方法についても記します。

第6章 地図投影法をめぐって
 前著の特徴の一つは、地図投影法を難しい数式など使わずわかりやすく解説したことでした。地図投影法は依然として誤解の多い分野です。この間、ようやく本格的な専門書が刊行されました。それも参考にして基本的考え方を確認し、地図投影法をめぐる問題について丁寧に解説します。ユニークなテーマもいくつかあります。

 前著では記していたウェブサイトのURLは、本書ではあまり記していません。検索エンジンの発達により、URLを入力して探すことは少なくなったと思うからです。十年一昔、特にインターネット分野での変化の大きさを感じます。【 】がタイトルを示しているので、それで検索なさって下さい。URLを記した場合も、長いものは短縮しています。
 今回も本書と連動したサイトを設けています。そちらもご活用ください。
 【  】は【田代博のホームページ】からたどれます。


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