電子国土基本図に対する意見への対応
「地図情報」第31巻4号(2012年)電子国土基本図特集号の小文との関係で
第2回会議の議論より
2011年3月28日
 地図情報センター発行の「地図情報」誌 第31巻4号(2012年)は電子国土基本図の特集でした。その中に、「「電子国土基本図」の問題点−ユーザーの立場から」とする小文を書き、多岐にわたり問題点を記しました。それに対して国土地理院がどう対応したか、会議資料に基づき、ご報告します。
 小文(初稿)はこちらをご覧ください。地理院発表の資料はこちらを参照。

不完全な建物記号について(タイルの問題)
 丸が正円になっていなかったり、切れたりしている。文字もタイルをまたぐところで消えてしまう。等など。具体例はこちら参照(不完全な建物記号 注記文字の乱れ 記号の縦横歪み)。
電子国土Webのバージョンを来年度に変更する予定であり、それにより解消する見込み。
 期待しています。

送電線について
 こちら参照。復活の方向です。なお、同様に消えてしまった発電所、変電所も同じ扱いです。

記念碑について
地域を特徴付ける重要なランドマークなので地図に不可欠な存在。こちら参照(他の内容も記しています)
2万5千分の1地形図から記念碑のデータを転写する(現地確認は困難であるため、すでになくなった記念碑がある場合は、主に指摘等を受けた上で対応する。)
 復活ですね。オンデマンド地形図にも適用予定。

踏切について
新たに加わった(^_^)だが、ミスが多い。正しいかどうかの点検が必要である。具体例はこちら参照。
鉄道局の資料をあたり、適切な資料があれば修正する(平成24年度中)。
確かな資料による修正が終了するまで、表示を停止する。
 データはそう遠くない内に関連機関が作成可能であるという趣旨の説明もありました。ともかく、一旦は表示をやめるということです。

国道番号が強調されすぎていることについて
 国道番号が強調されているが、これほど大きくベタ塗りする必要があるのか。地の部分をつぶすことのない半透明表示など簡単にできるのではないか。こちら参照。
当面の対応として、国道番号が輻輳している箇所について表記する記号を小さくする。抜本的な対応として・・・適切な一に、適当な大きさの標識を発生させるツールを開発・・・
 これについては、機械任せにしないで最終的には人間による判断が必要ではないかという趣旨の意見が委員から出ました。オンデマンド地形図で対応予定。

境界線が太すぎることについて
 境界が「線」ではなく、「帯」に変更された。見やすいという意見もあるが(「登山時報」2011年9月号)、率直に言って見た目の悪さが目立つ。
以下のように、表記縮尺に応じて表現を変更する対応を行う。
・2万5千分1レベルの表現としては、従来の2万5千分1地形図の行政界と同様の表現とする(一点鎖線等)よう検討する。
・2500レベルの表現としては、現行の黄色幅の行政界よりも線を細くし、その下に存在する地物を見やすくする。
 サンプルも用意されました。2万5千分1レベルの表現は色は黒のようですが、ここは他の色にしても良いのではないでしょうか。

山名について(総称との個別名称とが同列、文字の配置が直線的)
 地名の階層性が考慮されていない。山脈に沿って記して注記が直線状になっている。こちら参照。
山の総称と個別の名称については、字の大きさ・フォント等を変更することにより対応
曲線字列(より広く自由字列)に対応できるよう、注記の取得基準について、表記する文字列に対して、一文字ずつの表記位置・角度などで保持できるよう検討する。(なお、2万5千分1地形図のデータをそのまま使うことは困難である。(そのまま利用すると、新たに付与した文字・新たな修正項目との重複が生じ、判別が困難になる部分が少なくないため。)) (来年度にかけて検討)

土堤・土崖、岩崖について
 表現される範囲のハードルが高くなり、輪中なども消えてしまった。こちら参照。
土崖等については、2万5千分の1地形図の内容を復活させる方向で検討するが、作業量が多いため、その対象・優先度やスケジュールを来年度にかけてさらに検討する。
 防災上からも不可欠なことと思います。
等高線の「全数表示」
 地形図の最大の特徴は等高線の存在。それが市街地では見づらく、急傾斜や岩場では崖記号により消えてしまう。「調和」がはかれないか。こちら参照。
等高線は、橋・徒歩道以外、市街地で最上位に表記するよう表示基準を変更し、市街地において消えないようにする。

ユーザーが等高線のみ、崖(間断あり)、等高線+崖の選択ができるシステムを検討する。(等高線の非表示は崖やダム等大規模構造物に対して付与されているが、非表示の理由の情報を持たないため、大規模構造物上にも等高線は一律に表示される)
 サンプルも用意されましたが、見やすさという点で改良の余地があるように思います。

縮尺の問題(約がついていること。日本全体を同一縮尺で表示できないこと)。
 紙地図とは異なるデジタルマップならではの問題ではある。こちら参照。
ウェブ地図で使われる円筒図法(シームレスにスクロールさせるため)では、縮尺固定することはできない。また、ユーザのディスプレイの縦横比は、表示されている画素数と正確に同じではないため、正確な縮尺が表示とはなっていない。正確な縮尺の地図は、オンデマンド地形図で対応する。
 縮尺固定はやはり残念ながら実現できないとのこと。経緯線が直交していることが必要としたら、せめて正距円筒図法はどうなのでしょうか。適切な投影法を考える余地は残されているように思います。
「地図情報」誌には書きませんでしたが、この間述べていた点について記します。
植生界などについて
 土地利用をわかりやすく示す「植生界」や「樹木に囲まれた居住地」の表現が消えた。こちら参照。
植生界について
◆ 農地など、その種類が頻繁に変わり、実態として維持管理(更新)することが困難となっているため廃止することとした。
◆土地の景観を把握するためにオルソ画像や空中写真が容易に利用できる(国土地理院も提供)ようになっているので、これらも活用していただくことで、国土地理院が独自の基準で分類するのではなく、ユーザ自身が求める分類やレベルの情報を得ることが可能となっている。
◆より多様な情報を求めるユーザのために、電子国土Webの上乗せの主題情報として他の機関・団体等が整備・公開していただくことを、国土地理院としても推進する。(ただし、25000分1地形図の植生界の情報は相当に情報が古く、国土地理院は旧版地図データとして提供する。)
 田や畑の記号は表示するのだから、境界を入れられないはずはないのではという意見もありました。
樹木に囲まれた居住地
◆樹木に囲まれた居住地については、取得基準があいまいであることから廃止した。
◆景観を把握するためにオルソ画像や空中写真が容易に利用できる(国土地理院も提供)ようになっているので、これらも活用していただくことで、国土地理院が独自の基準で分類するのではなく、ユーザ自身が求める分類やレベルの情報を得ることが可能となっている。
◆より多様な情報を求めるユーザのために、電子国土Webの上乗せの主題情報として他の機関・団体等が整備・公開していただくことを、国土地理院としても推進する。
 デフォルトではなく、オプション対応の「上乗せの主題情報」としての扱いになるようですから、全く無くなるということではありません。
徒歩道(登山道)について
 破線の表示が見づらいくなった。こちら参照。
2万5千分1地形図の徒歩道と同様の記号に変更する。表示基準を変更する。
 オンデマンド地形図で対応予定。
水涯線に関連して
 河川源頭部が細くない。幅員が一定のままで美的観点から好ましくない。細くできないか。こちら参照。
源頭部の位置情報はもっているので、対応可能。検討する。
 (担当者からの口頭による返事)

全体として、予想以上に(というと失礼ですが)、意見を受け入れる方向で検討を進めてくれた国土地理院の姿勢を評価したいと思います。検討会は来年度も行われます。引き続き、ユーザーの立場から意見を述べていく積もりです。
※冒頭でも述べましたが、これは地理院の対応の内、私が関わったものについてのみの私的なまとめです。他にも多くの点で意見が出され、かなりの部分は受け入れの方向で対応されています。
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