電子国土基本図から消えた送電線がいずれ復活か
2011年3月27日
 3月26日 第2回電子国土基本図のあり方検討会が開かれました。
 今までの「主な指摘事項に対応の考え方」に先立ち、新たに「オンデマンド地形図」(仮称)の説明がありました。休みも取らず、少々延長し3時間近い会議になりました(予定では13:30〜16:00)。多岐にわたる内容ですが、以下では新聞報道などでも話題になった送電線問題に限定してご報告します。なお、第1回2月23日の様子はこちらをご覧ください。

地理院から、送電線削除に対する指摘については以下のように対応する旨の説明がありました(地理院資料より。数字は引用者)
(1)電力会社に対して、できるだけ精度の高い図面の提供を依頼する。
(2)電子国土Webの上乗せの主題情報として他の機関・団体等が整備・公開していただくことを、国土地理院としても推進する。
(3)電力会社から図面等の送付がない場合には、主題項目として2万5千分1地形図の内容を取得する。
(1)について
 国家機関としての地理院が、電力会社に要請するということですね。電力会社の社会的責任が問われています。電力会社が真摯に対応することを強く求めたいと思います。
(2)について
 今回、「上乗せの主題情報」という言葉が登場しました(前からあったのかもしれませんが、私は今回意識しました)。これは要するにオプションで追加できる、という意味です(と理解しています。大きな間違いはないと思います)
 後半の「他の機関・・・」が、私にとってはちょっとわかりにくかったので、説明を求めました。その結果の自分なりの解釈を以下に記します。
“電力会社ではなく、地図関連の団体で送電線を地図化できるところがあれば、そこが作ったデータを提供してもらうように地理院としてお願いする”
(3)について
 今、読み直して見ると(2)との関係がどうなるのか、いささか疑問がありますが、(3)自体は、現行の2万5千分の1地形図からデータを取得するということですね。ただし、「主題項目として」という言葉があります。(2)の「上乗せの主題情報として」と同義と思います。従って、デフォルトで記載されるのではなく、オプションで選んで表示する、ということになるのでしょう。それでも、今の状況よりは大きな進歩です(復活です)。
 ところで、冒頭に記したように、国土地理院は「オンデマンド地形図」なるものを構想しています。上記内容が具体的にどう反映されるかについては、このがオンデマンド地形図も関わってきますので、触れておきます。
オンデマンド地形図(仮称)について (地理院資料より)
・電子国土基本図のベクトルデータを使用して、現在書店で販売している紙の2万5千分1地形図に比べて新しい情報を2万5千分1地形図画像データ又は紙の地形図として提供。
・利用者の要望に応じて、地形図の範囲(中心位置)、図式(記号の色、記号の非表示)、磁北線の追加の有無、縦長・横長、解像度、ファイル形式(PDF、TIFF、JPEG)、サイズ(A3相当、A2相当、2万5千分1地形図相当)が選択可能。
・出力のサンプルは、別紙参照(「標準」、「等高線は深緑、三角点は赤、行政界非表示」、「等高線はピンク、徒歩道は赤、行政界は非表示、磁北線を追加」)。今後、より2万5千分1地形図に近い図式に改良予定。
 色々選べるのが特徴です。2012年7月に刊行を目指しています。今回の電子国土基本図に対する意見の幾つかは、それに間に合わせます。ただし、送電線については、間に合いません。本ページのタイトルに「いずれ」を入れたゆえんです。来年2013年秋以降になる予定です。
送電線はオンデマンド地図にどう反映されるか(地理院資料より)
◆電力会社から図面等の送付があった場合には、その精度にあわせて表記する(例えば、もし2500の精度がない場合は、2500レベルの図には掲載しない。)
◆電力会社から図面等の送付がない場合には、2万5千万分1の内容をもとに、ユーザーが送電線の表記の選択ができるシステムを検討する。
電子国土基本図にはどう反映されるか(地理院資料より)
◆電力会社から図面等の送付があった場合には、その精度にあわせて表記する(例えば、もし2500の精度がない場合は、2500レベルの図には掲載しない。)
◆電力会社から図面等の送付がない場合には、2万5千万分1の内容をもとに・電子国土Webでは、新規に開発予定のプラグイン版のシステムで、情報を上乗せできるよう検討する
2500レベルの図は、電子国土基本図の一番縮尺が大きい図のことです。浦賀付近からサンプルを示します。このように、家が一軒一軒表示されます(電子国土基本図を利用)
第1回の会議で地理院からは次のような説明がありました(こちらより)。

電子国土基本図では大縮尺にした場合、どの建物の上を送電線が通っているかという高精度での表現をしなければならなくなる。そこまでの精度を確保できるか懸念があり、表現しないことにした。山間部だけでも表現するとか、ある縮尺までは表現する(しない)ということも可能ではあるが、現行では一律に表現しないことにした。

確かに、これだけ大きな縮尺だと、元にした図(送電線の図)がアバウトだと、線を引くことは難しいでしょうね。2万5千分の1地形図に描かれている送電線をそのままこの縮尺に適用することはできないでしょう。
現行は、これに見合う精度のデータがないので、一律に削除していたわけですが、次回改訂時には次のようにするということです(と解釈しています)。
T.電力会社が詳細なデータを提供した場合→最大縮尺の2500レベルに掲載する。
U.電力会社のデータが詳細でなかった場合、または提供をしなかった場合→2500レベルには掲載しない。しかし、2万5千万分1の内容をもとに地理院がデータを作成し、ユーザーがオプションで表示できるようにする。
 また、このオプションについては、例えば東京電力は提供しないが、中部電力が提供した場合(あくまでも例えばです)、中部電力管内については、詳細なデータが表示されるようになる、ということも含みます。デフォルトでは日本全国一律の表示にするのですが、オプションでは、地域性が出てくるということもありえるわけです。
上にも書きましたが、送電線の地図への復活は電力会社の姿勢に関わっています。電力会社は社会的責任を自覚し必ず資料を提供してください。



私自身まだ十分理解できていない部分もありますが、全体的な流れはご説明できたと思います。おかしな点があればご指摘ください。よろしくお願いいたします。
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