ファン・デル・グリンテン図法について
2020年3月11日
ファン・デル・グリンテン図法と呼ばれる投影法があります。アメリカのファン・デル・グリンテン(Alphons J.van der Grinten,1852-1921、ドイツ出身で、30歳の頃アメリカに渡り、ランドマクナリー社に勤務)が発表したもので4種類あります。その中で一番知られているのが第1図法で、ファン・デル・グリンテン図法というと、これを指すことが多いようです。
これは1904年に発表されたもので、円の中に世界全体が表現されています。まずはご覧ください(米国の特許(US Patent)が取得されているそうです)。
(ジオカートにより作成)
中央経線と赤道は直線ですが、それ以外は経線も緯線も円弧になっています。
高緯度が拡大されていますが、メルカトル図法による拡大と似ていると言うことで好まれたそうです。ちょっと面白いですね。実際に、1922年から1988年まで60年以上も、ナショナルグラフィック協会の世界地図として用いられてきました(その後がロビンソン図法です)。
正性質を持たない地図なのですが、重用されてきたのです。
ナショナルグラフィック協会の世界地図
実際の地図をみたくて、検索は試行錯誤しました。van der grinten national geographic で行ったところ色々ヒットしました。その一つが以下です。ナショナルジオグラフィックマガジンと書いてあります。
南北を切っていますが、確かにこの図法ですね。図の説明の箇所に、はっきり書いてあります(赤線)。
メルカトル図法と似ているということで、確かめてみました。以下はメルカトル図法です(ジオスタジオで作成)。
重ねたところです。アフリカや南アメリカはかなり一致しますが、それほど似ているかと言われると、うーむと言わざるをえないのですが・・・。
英文のウィキペディアには、メルカトルとの関係については次のように書かれています。
It largely preserves the familiar shapes of the Mercator projection while modestly reducing Mercator's distortion.
メルカトル図法の一般的な形状をほぼ維持しながら、メルカトル図法の歪みを適度に低減します(グーグル翻訳)。
念のため第2〜4図法を掲載します。いずれもジオカートで作成しました。
第2図法
 緯線、経線を直交するようにしています(正角ではない)。
第3図法
 緯線を赤道に平行になるようにしています。
念のため第3とメルカトル図法を重ねてみました。
第4図法 
 apple-shaped リンゴの形 と呼ばれたそうです。
■ラグランジュ図法について
 この図法によく似たものに、ラグランジュ図法があります。これはランベルトが1772年に発表した7つの投影法の一つです。数学者のラグランジュがこの投影法について研究を進めたので、この名前がついています。円の中に世界全体を表現し、経緯線が円弧になるのは同じですが、ラグランジュ図法は正角図法であり、経緯線が直交しているので、よく見れば区別がつきます(ジオカートで作成)。
パラメータを変えると、ファン・デル・グリンテンの第4図法に似た形にもなります。
https://map-projections.net/single-view/lagrange-120 のページに出ている説明文を掲載します。
The projection is named after Joseph Louis Lagrange, who generalized Lambert’s concept in 1779. As far as I know, the configuration in which two selected meridians form a circle (here: 120° E/W)
日本では話題になることはほとんどない図法と思いますが、英文のサイトには詳しく書いたものもあります。うらやましい!
例えばThe Lagrange Conformal Projection というサイトをご覧ください。
ここにも、ファン・デル・グリンテン図法と間違えやすいということが書いてあります。
It might easily be mistaken for the Van der Grinten projection, but this projection is actually conformal, and is not merely a conventional projection as the Van der Grinten is:
興味深い図法がまだまだ沢山あります。折をみてご紹介したいと思います。

小文をまとめるにあたっては政春『地図投影法』を元にしました。煩雑になるので「 」を付けませんでしたが、ほとんど引用に近い記述もあります。何とぞご了解ください。Snyder『Flattening the Earth』も参考にしました。ジオスタジオの作者には有益なアドバイスを頂きました。御礼申し上げます。地図はジオスタジオ、ジオカートにより作成しました。
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