日本列島を表すのにふさわしい投影法は?
2020年5月
 日本列島を表すのにふさわしい投影法は何でしょうか。地理院地図やグーグルマップはメルカトル図法を使用しているので、国土面積を正しく表現できていません。
 原則として正積図法の中から、ふさわしい投影法を考えてみたいと思います。
 「日本全域を示すのにふさわしい投影法は?」を少し発展させたものです。

 地図ソフト「ジオスタジオ」で描いた地図に、コメントをつけています。
 設定縮尺は1400万分の1です。経緯線は10度間隔です。参考に添えた世界地図の設定縮尺は3億分の1、経緯線は30度間隔です。
(1)形重視  
ランベルト正積方位図法
 形が正しい正形図法という投影法はありません。球面上の形がそのまま平面に展開されることはありえないからです。必ず形の歪みが生じます。それでも狭い範囲なら、球面を平面と見なすことも可能です。また一定の範囲なら歪みも許容できるでしょう。歪みが少ない状態で見るには地球儀の真ん中に日本を置いて眺めればよいのです。
 地理院地図のglobeを富士山が真ん中に来るようにしてみました。
 これでイメージしていただけるでしょう。
 それが再現できる投影法は、中心(地図主点)を富士山にした正射図法です。
 但し正射図法は正積ではありません。ずばり、正積方位図法にすればよいのです。
 日本周辺がこちらです。
 問題点を上げるとすると、北の方向が位置によって異なることです。経線を描いておけば対応は可能ですが、特段方位に拘る必要がなければ、方位記号も描く必要はありません。日本列島を示す地図として使われてよい地図ではないでしょうか。なお、国土地理院が発行している、日本の領域すべてが1枚の地図に治まっている「500万分1 日本とその周辺」は、地図主点を日本経緯度原点とする正距方位図法になっています(個人的には正積方位図法が良かったのではないかと思います。もちろん、このサイズでは有意な差は見られませんが)。
●地図主点 35度22分 138度44分
138度44分の経線が南北方向の垂直線になります(地図には表示されていません)。
(2)緯線が直線
 1.サンソン図法
 正積図法の代表の一つです。緯線が実長です。正距図法ではありませんが、緯線の長さが縮尺通りに表現されるのはこの図法だけの大きな特徴す。
●中央経線138度44分 中央緯線0度
 2.モルワイデ図法
 サンソンとくればモルワイデなので取り上げました。世界全図としては比較的使われる図法です。
●中央経線138度44分 中央緯線0度
 3.エケルト第4図法
 経線は楕円弧になります。
●中央経線138度44分 中央緯線0度
 4.エケルト第6図法
 経線は正弦曲線です。3と違いはほとんどありません。やや縦長の印象でしょうか。
●中央経線138度44分 中央緯線0度
 5.ボンヌ図法
 世界全図は周辺の歪みが大きく、実用性はないのですが、ハート型になるので愛好者が多いようです(^_^)。標準緯線を富士山を通る緯線にしたので、普段見かける形(標準緯線30度)とわずか違うと思います。
●中央経線138度44分 標準緯線35度22分

(3)経緯線が直交 正積円筒図法
 狭い範囲では経緯線は直交していると考えています。従って、日本全域を見る場合も、そのような地図の方が親しみやすいという人がいるかもしれません。もちろん、経緯線が表示されていないと、通常は判断はつきませんが。メリットは場所により北の方向が変わることがないこと。垂直線(経線)の方向が北だからです。島嶼を移動させ切図的に挿入する場合、方位を気にする必要がありません。
 1.「田代富士山」図法
 正積円筒図法は標準緯線を変えるだけで、名前が異なっています。30度はベールマン図法、45度は例のペータース図法です(別名もあります)。比較的最近のものでは、37.5度のホボダイヤー図法があります。そんな命名の仕方は良いのかという疑問がありますが、では作ってみようということで、富士山頂剣ヶ峯の三角点付近を通る35度22分を標準緯線とするするのがこの地図です。標準緯線上では歪みはありません。
●中央経線138度44分 中央緯線0度 標準緯線 35度22分
 2.ベールマン図法
「田代富士山」図法とあまり変わりません。扁平な感じがします。
●中央経線138度44分 中央緯線0度 標準緯線 30度
 3.ペータース図法
 一部で熱烈な信奉者がいる図法です。ゴール正射図法、ゴール・ペータース図法とも呼ばれます。日本付近でも十分縦長になります。
●中央経線138度44分 中央緯線0度 標準緯線 45度
(4)円錐図法 
アルベルス正積円錐図法
 2標準緯線の正積円錐図法です。単にアルベルス図法ともいいます。中緯度で東西に長い地域、例えばアメリカ合衆国を正積図法で示す時によく使われる図法です。標準緯線が2本あります。その値によって形は大きく変わります。1本を35度22分にしました。
●中央経線138度44分 中央緯線0度 標準緯線 35度22分、20度
結論
 9つの図法を上げました。結論は、一つには絞れません(^_^;)。3つ上げれば、ランベルト正積方位サンソン田代富士山です。ランベルト正積方位は形、サンソンは緯線が実長、そして田代富士山は経緯線が直交していること。どうしてもと言えば、ランベルト正積方位でしょうか。
 本来なら角の歪みの計算などを行い、定量的・科学的に見当すべきでしょうが、今回はいわば直感的な分析ということでご容赦ください(何しろ、病室での作業ですので(^_^;))。
 なお、あまり意味はありませんが、3つの地図を重ねてみました。かなり違うと見るべきか、大差ないと考えるかお任せします(^_^)。赤が正積方位、青が田代富士山、緑がサンソン図法です。
番外
アルベルス正積円錐図法について、地図ソフト「ジオカート」の作者のダンストリビさんが、斜軸図法によるものを2点作成してくださいました。こちら をご覧ください。
作図メモ
ジオスタジオで作成した画像は画面キャプチャーして、JPEG画像にしていました(JTrim使用)。当然画質は劣化します。ところでジオスタジオはメタファイル(wmf)の書き出しができます(他の種類もあります)。画質は綺麗ですが、wmfファイルを読み込めるソフトを持っていません。オンラインでの変換サービスも使ってみましたが、ノイズが入り使い物になりませんでした。ところが何と、ウィンドウズ標準装備のペイントが読んでくれることに気づきました。読み込んだ後、PNGに変換しました。これで全部できるかと思いきや、世界地図のサイズの画像は、周辺部がぼけてしまいました。そこでTIFFにしたところ、大丈夫でした。ただ、このページ作成のホームページビルダーに読み込むと画像はJPEGに変換されてしいました。あれこれ試行錯誤がありました。不十分な点は、病室での作業ということでご容赦ください。
表紙