新型コロナウイルス報道に用いられている
世界地図の投影法について
2020年1月31日
2020年2月1日加筆
2020年2月3日加筆
新型コロナウイルスの報道に使われている世界地図の投影法を調べてみました。
サイト掲載の画像を引用しています。ご了解ください。
検証した画像は地図ソフト「ジオスタジオ」で作成しました。
■メルカトル図法
毎日新聞2020年1月30日
ウェブではメルカトル図法が多用されていますが、分布・広がりを示す際に使うのはアウト、というのは教科書的常識です。まさか大新聞で用いられているとは思いませんでした。これを見たのが、この作業をしようというきっかけになったのですが・・・(^_^;)。
これがメルカトル図法ということは検証の必要もありませんが、「ジオスタジオ」で作成した画像と合成したものを掲載します。
合成画像
■ミラー図法
(1)中日新聞 2020年1月28日 夕刊
合成画像
(2)読売新聞2020年1月26日
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(3)FNN PRIME 2020年1月27日
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(4)朝日新聞2月1日
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(5)しんぶん赤旗2月3日(電子版
合成画像
■正距円筒図法
(1)AFP1月30日
標準緯線30度
合成画像
(2)NHK NEWS WEB 1月28日
標準緯線30度
合成画像
(3)外務省 海外安全ホームページ
標準緯線0度(正方形図法)
合成画像
このページをクリックして表れるページにはメルカトル図法の地図が。ちょっと何ともです。
正方形図法について:緯度0度の場合「経緯線の形状が正方格子になるので正方形図法((仏)plate carrée)ともいう。・・・正積でも正角でもないが、投影法としてもっとも単純であり、世界全体を表示した索引図的な用途には今日もよく用いられる」(政春『地図投影法』)。経緯線が正方形になっているのがよくわかります。
■平射円筒図法(ブラウン図法)
WHOのサイト
Situation reports の項をクリック Situation report - 10 のファイル(pdf)の中にこの地図がある。
標準緯線を0度とする。
平射円筒図法について:「正積でも正角でもないが、両者のバランスがとれているという点で、Miller図法に近 い。Miller図法と比べると、角の歪みは多少大きいが、面積の歪みが小さい。標準緯線0度」の時にBraun(ブラウン)図法と呼ぶ。標準緯線が45度の時がGall(ゴール)図法。こちらはそれなりに知られている。但し、しばしば「ガル図法」と誤って呼ばれてきた。ジオスタジオの投影法説明のサイトからかなり引用しています)
正距円筒図法の標準緯線を変えて色々試みたのですが一致しませんでした。ジオスタジオの作者にお尋ねをして、この図法ということがわかりました。御礼申し上げます。
合成画像
■ロビンソン図法
European Centre for Disease Prevention and Control
ロビンソン図法:「アメリカのロビンソンが1963年に考案・・・。擬円筒図法の一種で、全体としての歪みが少なく、ランドマクナリー社やナショナルジオグラフィック協会の世界地図帳に使われてきました」(小著『知って楽しい地図の話』より)
合成画像
■小括
まだまだ多くの投影法が使われていると思いますが、とりあえずざっと目につくものをとりあげました。
最初に述べたように、メルカトル図法が使われているのに驚いたのですが、幸い他には無いようで安心しました。
ミラー図法も高緯度は面積が拡大しますが、それでもメルカトル図法に比べれば遙かにマシです。一番多く用いられています。
正距円筒図法も多いのが意外な気がしましたが、妥当なところでしょうか。作成が容易だからでしょう。
平射円筒図法には悩まされました。
図の範囲を示す枠線がないと判断が難しい場合があります。ロビンソン図法がそうでした。分布図には良い図法なので、もっと使われてもよいのではないかと思います。

参考その1:武漢中心の正距方位図法を掲載します。等距圏は4000kmです。距離を示すには一番良い図法であり、また航空機のルートを示すにはふさわしいのですが(「航空図」ではない)、どこにも使われていませんでした。地理の教員には慣れ親しんだ地図ですが、一般的には見慣れない地図で、メディアはミサイルの射程が問題になるような時でないと使わないかもしれません。世界全図の場合、円になるので、余白の扱いが面倒という実務的な?理由もありそうです。円筒図法が多く用いられる理由には、こうした「形」の要素もあると思います。
この項についてジオスタジオの作者のアドバイスを得ました。御礼申し上げます。


参考その2:ミラーで描かれた朝日の地図をこの正距方位で表してみました。どちらが見やすいでしょうか。

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