地球儀を見るのは外射図法!
2020年5月
 地球儀を眺めた時の形(陸地、経緯線)は、投影法で言えば何になるのでしょうか。
 今まで、正射図法の説明の際に、この地球儀(の見え方)を使っていました。見ている地球儀の状態がそのまま地図になっているのが正射図法なのです、というように。
 大きな間違いではありませんが、本当に正射図法であるためには、かなり遠くから見なければなりません。正射図法は「視点が投影面に垂直な方向の無限の距離にあるとした場合」「地球を無限遠から眺めた時の姿」(政春『地図投影法』)だからです。
 手に地球儀を持ってそれを眺めている状態は、正射図法とは言えず、外射図法というべきでした。
 外射図法は、視点を有限の距離に置いたものです。「人工衛星から直下方向に撮った写真は外射図法による地球の姿になっている」(前掲書)のです。
 そのことを、地球儀を使って確かめてみました。
 
 使用した地球儀は風船式のものです。三恵という会社が作っていたもので、綺麗な球になります。ソビエト連邦と書いてあるので、年代物です(^_^;)。
 直径は27p、これが地球の直径12742mになります。この値を基準に、撮影地点の距離を記しました。
(1)
地球儀までの距離45p  2万1240km
(2)
100p 4万7200km
(3)
200p 9万4400km
(4)
300p 14万1600km
 撮影位置が異なると、当然地球儀は小さくなります。上記は、いうまでもなく同じ大きさになるようにしたものです。
 自宅の汚い庭で撮影したのでお恥ずかしいのですが、焦点距離を変えていないので、(1)と(4)は実際にはこんなに大きさが異なっています。
 それぞれが、本当に外射図法になっているのか、地図ソフト「ジオスタジオ」を使い確かめてみました。外射図法を描ける地図ソフトはあまりないのですが、同ソフトのベータ版はサポートしています。作成し重ねてみました。まずまずの結果と言えるでしょう。
(1)
(2)
(3) 
(4) 
 とは言え、少々ズレがあります。その理由は明確です。撮影が適当なのと(^_^;)、中心の経緯度が厳密には正確ではないからです。撮影した地球儀の写真をプリントアウトし、中心を求め、その位置を地理院地図から見当をつけ、経緯度を読み取るという、手工業的手作業で行ったからです。撮影している間に風で地球儀が転がったこともありました。4点の中心はいずれ微妙に異なっています。
 ともかく、地球儀を見ている状態は、外射図法であることは間違いないことがわかりました。
 念のため、上記地球儀と同じ視点で作成した地理院地図Globeに外射図法を重ねてみました。
 見事に一致しました。
 地理院地図Globeでは、あらかじめ視点を定めて描画することができます。URLに数字を入れればよいのです。その方法については、「地理院地図Globeの「視点」などについて」をご覧ください。
 (1)から(4)の距離に応じて地理院地図Globeを描画しました。地球儀の撮影と同じように距離によって大きさが随分異なることがわかります。
(1)2万1240q (2)4万7200km
(3)9万4400km (4)14万1600km
 最後に、正射図法との違いを見ておきましょう。一番近い(1)の場合です。
 同一縮尺で作成した正射(赤)と外射(青)を重ねてみました。真ん中にくる日本列島周辺は重なりますが、周辺に行くにつれ、ズレが大きくなります。そもそも外射はかなり小さくなります。、
 ただし、この重ねた地図では、正射と外射の描画範囲の違い(外射の方が小さくなる)を明瞭に知ることは難しいので、サイズを揃えて(縮尺は異なる)並べてみました。
正射図法
外射図法
 正射図法ではインドの左側にパキスタンの一部が描かれていますが、外射ではインドがやっとです。カスピ海も微妙です。正射ではオーストラリは全部表現されていますが(タスマニアは除く)、外射では南半分は切れています。
 
 地球儀を見ている状態は、外射図法であることがしっかり確認できました。
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