earthで使われている8つの投影法について
2019年10月12日
田代博
 「earth :: 地球の風、天気、海の状況地図」( https://earth.nullschool.net/jp/)というサイトがあります。台風などの報道の際に使われることが多いので、ご存知の方も多いでしょう。
 トップ画面がこちらです。
 左下のearth= をクリックすると説明が出てきます。
 投影法の項目があり、A−CE−E−O−P−S−WB−W3 となっています。
 マウスをあてると、図法名が表示されます。
 A=アトランティス、CE=正距円錐、E=正距円筒、O=正射、P=パターソン、
 S=平射、WB=ウォーターマン蝶型、W=ヴィンケル第3

となっています。見慣れない図法もあります。パターソンやウォーターマン蝶型は検索しても日本語のサイトでは説明は出てこないのではないでしょうか。また、最初のアトランティスも普通の地図の本(サイト)にはあまり出てきません(そもそも日本では地図投影法の本そのものが僅かしかありませんが)。

 ということで、ここでは8つの投影法について説明をします。
A=アトランティス (atlantic projection)
説明の前に・・・。
マウスポインタをあてて動かすと、表示される形が変化します。投影の中心が変わるからです。その時にはモノクロ画像になり黒灰色の地に、白の海岸線と経緯線が表示される画像になります。
これが表示されてすぐ下の画像に代わります。
 さて、このアトランティス図法についてです。
 投影法的には、モルワイデ図法の横軸です。中心は、北緯45度、西経30度です。
 政春尋志『地図投影法』p158〜159に詳しい説明があります。
 バーソロミューが命名したもので、西経30度、東経150度の経線を楕円の長軸になるようにしたものです。 北極、南極が長軸上にきます。大西洋を取り囲む大陸の配置が比較的わかりやすく示され、世界全体を見ても大陸が分断されていません。
 軽快に使える地図投影法ソフト「ジオスタジオ」では横軸は描画できないので、再現はできません。
 本格的な地図投影法ソフト「ジオカート」は対応しており、以下はそれで描画したものです。
 これを横に寝かせたのが、eaarthのアトランティス図法ということです。
CE=正距円錐 (equidistant conic projection)
 経線上の距離が正しい円錐図法の一種です。
 円錐図法は、標準緯線(地図をつくるもとになった地球儀を接する線)の取り方によって、形が変わります。
 この形を再現するにはどうすればよいでしょうか。ジオスタジオでいろいろ試みてみました。
 標準緯線を28度で作成した地図が似た形になりました。北極の空き具合がちょっと異なりますが。
●E=正距円筒 (equidistant projection)
 経線上の距離が正しい円筒図法です。これも標準緯線をどこに取るかによって形が異なります。
縦:横=1:2になっています。従って、標準緯線は0度(赤道)になります。ジオスタジオによる地図が以下です。
●O=正射 (orthographic projection)
 地球儀を見るような図法です。半球しか示せません。グーグルアースの初期画面を考えるとよいでしょう。earthのデフォルトではこれが表示されています。
ジオスタジオによる
P=パターソン (patterson projection)
 円筒図法の一種です。
 「Introducing the Patterson Cylindrical Projection」というサイトに詳しい説明があります
https://cartographicperspectives.org/index.php/journal/article/view/cp78-patterson-et-al/1362)。
 そこの一説を訳して掲載します(意訳です。異訳でないとよいのですが)。

 パターソン(円筒)図法は、一般的な世界地図用に考案された、他の円筒図法に代わる新しい図法です。「正方形図法」(plate carree 赤道を標準緯線とした正距円筒図法)と、高緯度地方が拡大されるミラー図法の間に位置付けられます。

 比較した地図が何点も描かれています。それをアレンジして一部を掲載します。真ん中がパターソン図法です。
 正方形図法は、上記の正距円筒図法がそうなっています。
 なお、「Patterson Cylindrical Projection」(https://map-projections.net/patterson.php)にも利用例などが詳しく書いてあります。
(10月13日追記) ジオカートの最新バージョン(3.3.3)では、この図法にも対応しています。
●S=平射  (stereographic projection)
 正射図法の仲間ですが、正角の性質を持つ図法です。天気図に用いられている図法です。気象庁は「ポーラーステレオ図法」と呼んでいますが、正軸の平射図法のことです。
 周辺部の歪みは非常に大きくなります。
ジオスタジオによる
WB=ウォーターマン蝶型 (waterman butterfly projection)
 見慣れない図法です。断裂図法です。実用性はないと思うので、このサイトの作成者の趣味?遊び心でしょうか。この地図は日本を中心にしています。
 英語のサイトでは、ウィキペディアにあります。
(https://en.wikipedia.org/wiki/Waterman_butterfly_projection)

 ここでは「Waterman butterfly projection」のサイトから一部引用しましょう。
 (https://www.revolvy.com/page/Waterman-butterfly-projection

The Waterman "Butterfly" World Map is a map arrangement created by Steve Waterman. Waterman first published a map in this arrangement in 1996. The arrangement is an unfolding of a globe treated as a truncated octahedron, evoking the butterfly map principle first developed by Bernard J.S. Cahill (1866?1944) in 1909. Cahill and Waterman maps can be shown in various profiles, typically linked at the north Pacific or north Atlantic oceans.
W=ヴィンケル第3 (winkel-tripel-projection)
 正性質はありませんが、全体としての歪みが少なく、世界地図としてよく使われる図法の一つです。ヴィンケル図法は3種類ありますが、ヴィンケル図法と言えば、一般的にはこの第3図法を指します。これはearthのデフォルトの画像です(中央経線0度)。
ジオスタジオによる
 周辺部の形を良くするために、緯線を少しそらしているのが特徴です。それにより経緯線の交わる角度を調整しています(直交に少しでも近づけるようにする)。
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