等角航路と大圏航路の差の実証的検討(メモ)
2019年12月
今更ですが、等角航路と大圏航路についてのメモです。
図は、メルカトル図法上に等角航路と大圏航路を示したものです。等角航路が直線になっています。等角航路はどんな図法でも描けますが、メルカトル図法の正軸の場合は、このように直線になります。それがメルカトル図法の大きな特徴です。
等角というのは、経線に対する角度がどこでも等しいという意味です(なお、経線に対する角度を地図学では「舵角」と呼んでいますが、海事関係者には通じない用語です。こちら参照)。
それはともかく、等角航路では「向き」を変えないで目的地に達することができる、それに対して大圏航路は、進むにつれ「向き」を変えなければならないということが読み取れる図です。
但し、実際の距離は大圏航路の方が短いのですが、この図では逆になってしまいます。距離がわかるようにするには、始点(東京)中心の正距方位図法を用いる必要があります。
東京中心の正距方位図法の上に、大圏航路と等角航路を示せば、大圏航路が直線であり、等角航路が遠回りになることが直感的にわかります。但し、地図は見慣れた形ではありません。
ところで、等角航路と大圏航路はどの程度の違いがあるのでしょうか。東京−ロサンゼルス間の値を示します(それが表示できる地図ソフトがあります)(地球は回転楕円体ではなく、球として計算)。
 2点間の距離=大圏航路  8812km
 航程線の長さ=等角航路  9301km 
等角航路は大圏航路より1.06倍長いのですが、消費税よりも小さな値です。たいした違いはない、というと語弊がありますが、思ったよりも違いはないと言ってよいのではないでしょうか。
実際に飛行機はどのように飛んでいるのでしょうか。リアルタイムで飛んでいる飛行機の様子がわかる「フライトレーダー24」というサイトは有名ですが、同様なものに、「FlightAware航空便リアルタイム追跡」があります。登録すると(無料)過去4か月分の飛行データを見ることができます。上の図は、JL62便(成田−ロサンゼルス)を例に、実際に大圏航路を飛んでいるのか、確かめてみたものです(2017年)。時期によっては必ずしも大圏航路を飛んでいないことがわかります。
飛行機は最短コースになる大圏航路を飛ぶ、というのは間違いではありませんが、実際には必ずしもそうなっていない、また、距離の違いはそれほど大きなものではない、と言ってよいのではないでしょうか。
大圏航路と等角航路の違いを大きく感じる理由
上記のように、大圏航路と等角航路の長さの違いはあまりないのですが、それでも等角航路がうんと長くなるような印象を持つ人が多いような気がします(私の思い込みかもしれませんが)。そう思うのは、直線に対し弧が長く見えてしまう(長いと思ってしまう)からではないでしょうか。もちろん、直線より弧が長いのではありますが。
実際よりも長く見えてしまう(思ってしまう)視覚心理学的?な要因があるのではないかと思います。
実際には弧は直線よりどの程度長くなるのか、測定してみました。

使用したのは「曲線ものさし」というフリーソフトです。「画面上のものさしです。ものさしが曲がるので曲線距離も測れます」というものです。
●メルカトル図法上での比較
大圏航路の方が長くなるので、意味はないのですが、両者の違いがどの程度かを知る意味で測定してみました。ディスプレイ上で、直線は855ピクセル、弧は920ピクセルになりました。弧は直線より1.08倍長くなっています。
●正距方位図法上での比較
直線は830ピクセル、弧は910ピクセル。1.10倍長くなります。
こちらが意味のある図なのですが、あまり見かけることはありませんね。
図上でも最大消費税(10%)程度の違いしかないのですが、やはりそんなものでしょうか。
もしかしたらあまり意味のない考察だったかもしれませんが、自分なりにはスッキリしたものがあります。
ご覧くださった方、有り難うございました。
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