朝日新聞2019年6月4日(夕刊)
沖縄を中心にみたアジア各都市の位置の地図の問題点
2019年6月
 朝日新聞2019年6月4日(夕刊)社会面に「沖縄から空路で4時間圏内」という等距圏が正円で示された地図が掲載されています。「県の資料をもとに作製」となっています。中心は沖縄からとなっていますが、那覇と考えてよいでしょう。
 等距圏が正円になっているので、地図は那覇中心の正距方位図法でなければなりません。地図には経緯線が描かれていないので、これだけでは何とも言えませんが、どうも円筒図法の系統で描かれたような感じがします。

 いきなり結論を言いましょう。これはミラー図法をベースにした地図で、等距圏は2850kmのようです。
 ミラー図法の上でも等距圏は描けますが、正円にはなりません。しかし、この地図は、ミラー図法の上に正円を描き、それを等距圏(沖縄から空路で4時間圏内)としているのです。ミラー図法を使うことを直ちに否定するものではありませんが、その場合は、正円にはなりません。正円にするには、ベースになる地図は、那覇中心の正距方位図法でなくてはなりません。
 2000年の九州沖縄サミット時に外務省が誤った地図を作製し、今もウェブサイトに掲載されていますが、約20年経っても同じ過ちが繰り返されているのです!
ミラー図法に等距圏を描いた地図と、朝日の地図の合成
ミラー図法の地図は、地図投影法ソフト「ジオスタジオ」で作製。朝日の地図は、重なり具合から、ミラー図法で作製したと考えてよいでしょう。細い実線が、ミラー図法上の等距圏。朝日の等距圏が実際より南側で大きくなっていることがわかります。
那覇中心の正距方位図法と、朝日の地図の合成
正円を一致させたら、ベースになる地図が大きくずれてしまいました。
 しつこく繰り返します。等距圏が正円であるためには、ベースになる地図は正距方位図法でなくてはなりません(もちろん、平面図法=方位図法なら、正積方位図法でも正射図法でも等距圏は正円になります。ただ、趣旨からして正距方位図法を使うのが基本です)。正距方位図法でない図法にも等距圏は描けますが、その場合は、等距圏は正円にはなりません。
 県の資料をもとに作製されたこの地図の等距圏の描き方は誤りです。
 県の資料が誤っているのか、それをもとに作製した朝日新聞に問題があるのかはわかりませんが、早急に点検、見直し、訂正をしてください。
(朝日の地図などは、デジタル版より)
適宜、タイプミスを修正したり、注をつけています。
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