山梨県から見る富士山(原稿・工事中)
2011年3月
 山梨側と静岡側と、どちらから見る富士が良いかと言うことが話題になります。それはまさしく好き好きです。そもそも、どちらも、どこから見るかによって大きな違いがあります。山梨でも静岡でも手前の山に隠される地域もあれば、麓からすっきり望める地域もあります。唯一違いがあるとすれば、山梨からは海越しの富士山が眺められないということだけでしょう。
 大きな特徴は富士山の西〜北にかけて太い三日月状に非可視域があることです。天子山地〜御坂山地が富士隠しになるのです。その結果、甲府盆地の御坂山地よりでは富士山が見えなくなります。北東から南西に流れていく笛吹川がほぼ消え富士ラインになっています。また大菩薩連嶺の東側の地域も非可視域になります。
 山梨県を区分する時は、東部の郡(ぐん)内(ない)と中西部の国(くに)中(なか)に分けるのが一般的です。御坂山地と大菩薩連嶺を境にしますので、本稿の区分でもふさわしいでしょう。なお、気象庁による気象区分ではそれぞれ、東部・富士午後、中・西部です。

*郡内地方(東部・富士五湖)
 富士五湖周辺は、間近に全容が眺められる地域です。例外は西湖の一部。足和田山が富士隠しになります。本栖湖でも南西部で竜ヶ岳に隠される地域がありますが、全体としてどこからでも眺められます。山中湖畔の紅富士、ダイヤモンド富士、河口湖の桜、ラベンダー、紅葉、逆さ富士、西湖の夜明けの霧、精進湖の子抱富士(ここからは、側火山の一つの大室山が富士山の手前におさまり、親(富士山)が子ども(大室山)を抱いているように見える)、本栖湖の1000円札の富士など多彩な富士山が眺められます。忍野村は雪の積もった茅葺き屋根の古民家と富士山の定番スポットです。うどんでも知られる富士吉田にも沢山のポイントがあります。新(あら)倉(くら)山(やま)浅間公園の忠霊塔(五重塔)と桜は一度は是非見ておきたいものです。百景にも数多くの地点があがっています。ただし、富士山が太陽を隠してしまい、早く日陰になってしまう地域もあります。
 東部地域は山頂、稜線部以外は見づらいのですが、谷の方向によってはその隙間から(山(やま)峡(かい))から覗けるところもあります。中央線下りで初狩駅をすぎてすぐの「一目富士」などはその例です。丸太沢の谷の隙間に平らな山頂部が瞬間覗きます。手前にはリニアモータカー実験線が走っています。特急の場合これを見るのは至難の業ですが、近くの中央道初狩パーキングエリアからなら同様の構図でゆっくりと眺められます。
 山では,三ツ峠山、滝子山、大菩薩峠、扇山など富士山展望の名山が目白押しです。三ツ峠山にはNTTドコモのライブカメラがあるので居ながらにして秀麗な富士を堪能している方も多いことでしょう。

*国中地方(中・西部)
 国中地方と言っても一括りにするには広すぎるのでまずは甲府盆地から見ていきましょう。
 自分にとっては見慣れた景観が一番ですから、甲府盆地の北部に住む人にとっては、長く裾野を引く富士山ではなく、下半分が御坂山地に隠された富士山でないと落ち着かないのではないでしょうか。御坂山地に近づけば富士山は段々隠れていきます。北に行けば現れてきます。今から四半世紀も前ですが、計算上で求めた消え富士ラインの実証に甲府盆地に行ったことがあります。石和温泉駅で下り南に進むにつれ見える部分が小さくなっていきます。笛吹川付近で見事に見えなくなった富士山に大喜びしたものです。見えて喜ぶならわかるのですが、見えなくなって手を叩いたの珍しい経験でした。
 甲府盆地も北西端双葉サービスエリアあたりまで行けば2000〜2300mより上が覗くようになります。もう少し進んだ韮崎方面からはさらに見える部分が増え、スッキリした形になります。この方面から見た富士山は、侵食谷も側火山も目立たない原型に近い形になりますから、よりスッキリ感が強くなるのでしょう。
甲府盆地の北側の山に登れば、盆地越しの富士山になります。乾徳山、茅ヶ岳、瑞牆山、金峰山(長野県境)、赤岳(同)などからは長く連なる御坂山地を侍らせた富士山です。

 北西側では南アルプスから眺める富士山が特徴です。甲斐駒ヶ岳(長野県境)、鳳凰山、そして白根山です。日本第2の高峰の白根山北岳から日本第1の富士山を眺める、これはまた格別の味わいです。手前には和櫛のようなと形容される櫛形山が横たわっています。その富士山と北岳をワンショットで眺めることができるのが仙丈ヶ岳(長野県境)です。見かけ上は北岳の方が高くなります。

 静岡県に食い込んだ富士川流域を見てみましょう。天子山地が隠すので当然ながら山稜部でないといけません。身延山はロープウェイで登るにつれ御坂山地の上から覗くようになります。七面山は彼岸の頃に昇るダイヤモンド富士になることで知られています。信仰の山ですので白装束の信者も沢山訪れます。壁になる天子山地の長者ヶ岳や天子ヶ岳(静岡県境)からはもちろん麓から立ち上がる富士山が見えます。一番大きな侵食谷である大沢崩れが真ん中に走っています。
 また、この方面からは山頂が左から右に高くなっている(右端が剣ヶ峯)のが特徴です。→朝霧高原にまわす? ほぼ最南部に山梨百名山で一番低い白鳥山(568m)があります。そこから一番高い富士山を見る、ということで密かな人気になっているそうです(山梨百名山からはすべて富士山が見えます)。車を使えば駐車場から10分で行けます。山頂には「恋人の聖地」のモニュメントがあり、ハート型の穴から富士山を眺められます(トンネル富士)。ここからの富士山を見て「裾がデコボコなんですね」と言った人がいます。確かに、側火山が影響ですそ野のラインがデコボコしています。
 この富士川沿いの山間部を走る身延線は、沼久保駅〜甲斐上野駅までの区間ではほとんど見えませんが、それでもチラッと覗けるところがあります。久(く)那(な)土(ど)駅、甲斐岩間駅付近です。久那土駅では、駅名表示板を入れて山頂の一角白山岳を写真に収めることもできます。トンネルを抜けた甲斐岩間駅付近がもう一つのポイントです。久那土からにくらべれば一応富士山と納得できる形になっています。富士山を囲む天子山地と御坂山地のつなぎ目からポロリと覗いた富士と言えるでしょう。
 いささかマニアックな説明もしましたが、これだけのスペースではとても語り尽くせるものではありません。さすがに富士山の北半分を持つ山梨県であります。この締めくくりでよいか? もう一工夫、一ひねり必要
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