和歌山県から見る富士山(原稿・工事中)
富士山最遠の地
2011年3月
 和歌山県は、那智勝浦町の那智山周辺にポイントがあるだけです。しかし、最遠望の地、色川富士見峠があるところであり、富士山の遠望を語る際に不可欠の「聖地」と言ってもよいところです。

 私が初めて富士山可視マップを作成し山岳雑誌発表した際(「岳人」1986年4月号)、最遠方の山として紹介したのが和歌山県南部の法(ほう)師(し)山(やま)でした。1988年4月、NHKの「昼のプレゼント」に出演した際は、全国に生放送で法師山が最遠方の地であると述べたのですが、見える(見えた)という反応はありませんでした。実は手前の山に阻まれて見えなかったのです。しかし、富士山マニアの関心は集めたようで、付近の山で撮影する人が出ました。1995年12月、三重県のカメラマン楠本弘児さんが40回近い山行の後に、ついに320km離れた大雲取山(966m)からの撮影に成功しました。1997年1月には、さらに2.6km離れた妙法山(749m)からも撮影され、テレビで実況中継されたこともあります(1999年元旦日本テレビ「ズームイン!!朝」)。妙法山の富士山が見える場所には東屋も造られ「妙法山富士見台」として整備されています。地元のライターの江川新治さんは、『富士山展望百科』(実業之日本社)の中で次のように書かれています。「妙法山は・・・、古代から熊野信仰の本拠地のひとつとして栄えた山で、和歌山県においては高野山と並ぶ二大納骨霊場でもある。・・・その旅立ちの地から「不老不死の山」富士が見える・・・。秦始皇帝の命により、徐福が不老不死の妙薬を求めて渡来したと伝えられるのもこの熊野の地であり、不老不死という観点から見ても有史以来、熊野と富士山は赤い糸でつながっていたといえるかもしれない」。

 最遠の地はもうこれ以上延びることは無理だろうと思われていましたが、2001年9月12日早朝(あの9.11の翌日です)、三重県の京本孝司さん・仲賢さんが妙法山北西小麦峠(2008年、色川富士見峠に改名)から、さらに300m遠い、最遠方の富士山を撮影しました。『富士山展望百科』で私は最遠の地について次のように書いていました。「この妙法山の記録は破れないと思われるが、可視マップではもう300m遠い地点に可視ポイントが表示される。・・・証拠写真の撮影が課題である」。まさしくその場所でした。322.9kmは証拠写真のある、山の遠望記録としては、ギネス世界記録に登録されてもよい価値を持つでしょう。地殻変動が起こらない限り、理論的にもうこれ以上遠望の場所はありません。
 証拠写真のある最遠望の地の上位3はいずれも和歌山県にあります。1位色川富士見峠 322.9q 2位妙法山 322.6q 3位大雲取山 320q。何事もそうですが、富士山の超遠望記録も、何人ものパイオニアの夢とロマンを追い求める情熱によって達成されたのです。
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