小著『「富士見」の謎』の原稿に写真を添え加筆したものです
2013年12月/2014年1月改訂
●千葉県
最東端展望地点のある県
千葉県は、房総丘陵から安房の海岸部以外はほぼ全域が可視域です。しかし丘陵や台地を刻む谷の部分は非可視地域になりますから、可視域もベタではなく、細かいまだら模様になるのが特徴です。従って平坦な地形が続く九十九里平野はベタの可視域になります。
千葉県からの最大の特徴は海越しの富士山ということになるでしょう。
 インターネットで探してみると「千葉からですと海の上に浮かぶ富士山が楽しめますよ」「冬になると幕張の浜や美浜大橋によく見に行きます」と言った書き込みが見つかります。
百景でも多くが海岸から選ばれています。
*東京湾に沿って
 東京湾に沿って南下して見ていきましょう。千葉県に入ってすぐの東京ディズニーランドは中から見えますが(鉄道からも)、外側の海岸(ヒルトンホテル前の岸壁)は「浦安でも一番眺望がよい場所でしょう」。からはダイヤモンド富士ポイントでもあります。。美浜大橋稲毛海岸は北部の代表的なポイントです。千葉県民が500万人に達したことを記念して作られた千葉ポートタワーに上がれば113mの4階展望台から360度の展望を得られます。海ほたるに渡れば行き交う大型船と上空を飛ぶ飛行機と一緒に富士山を眺めることができます。
(東京ディズニーランドそば 2004年2月18日)詳しくはこちら
(千葉ポートタワー2014年2月25日)詳しくはこちら
(海ほたる 2009年1月3日)
(アクアライン 2009年1月3日)
この海ほたるへ行く東京湾アクアラインのおかげで、私が住む横浜から木更津方面へは大変便利になりました。ダイヤモンド富士を求めて毎日のように通ったこともあります。小櫃川にかかる金木橋からは綺麗なダイヤモンド富士が撮れました。
(小櫃川金木橋ダイヤ 2013年3月16日
木更津駅から歩いても行ける木更津きみさらづタワーから狙いましたが、微妙な結果でした。
(木更津きみさらずタワーから微妙なダイヤ 2013年3月21日
 ところで実際には、千葉県から富士山はどの程度見えるものなのでしょうか。木更津市役所は、光化学スモッグ対策を考える上で視程の調査が必要ということで、1969年から毎朝9時に目視観察をしています。2008年度までの平均では年間49日となっています。21世紀分だけを見ると57日になりますから、見え方がよくなってきたようです。市のユニークなタイトルのホームページ(「世界遺産/富士山に恋をして」)に富士山の見えた日数のグラフがあり、データもpdfファイルで登録してあります。このページにはトンネル富士や逆さ富士などの写真も掲載されています。
 首都圏に残された貴重な干潟越しに富士山を眺めることができるのが、小櫃川河口干潟です。


神奈川県に最も近い富津岬の先端には五葉松を形どった大きな明治百年記念展望塔があります。砂浜からも富士山は見えますが、塔に上がればより雄大です(百景)。点在している丸い穴の空いたのモニュメントからトンネル富士が可能です。
(富津岬明治百年記念展望塔 2011年4月2日)
(百景 富津市からの富士 2014年1月2日)
(トンネル富士が可能 薄いが何とか見える 2014年1月2日)
 あちこちから目につく東京湾観音は、中に入り体内の穴から覗けますが、観光会館やその横の展望デッキからも東京湾越しの富士山が眺められます(百景)。東京湾観音は少々違和感を覚える構造物ですが、展望という点ではなかなかのものです。
(東京湾観音 大貫駅付近海岸より 2011年4月2日)
(東京湾観音 2014年1月2日)
(展望デッキ 2014年1月2日)
 東京湾フェリーの発着所の浜金谷からも良く見え、ここには「恋人の聖地」のモニュメントがあります。 
(「恋人の聖地」 2011年4月2日)
勝山漁港からは、赤と白の灯台の真ん中に浮かぶ雄姿が魅力的です 
岩井海岸には4月末にダイヤモンド富士の撮影に行きました。見事にゲットできましたが、半日がかりでした
(岩井海岸ダイヤ 2009年4月29日
 富浦海岸の穴場が法華崎(遊歩道)です。二見浦の夫婦岩のような二つの岩(雀島、船虫島)の間にわずかですが富士山を眺めることができます。おそらく日本一短い自然のトンネル富士可能かと思ったら、穴の向きが合わず、残念でした(支える鉄の柱との間では可能ですが、自然のトンネル富士にはなりません)。ここには5度ごとに真方位と磁方位の目盛りを刻んだユニークな方位盤があります。
(法華崎遊歩道より 2011年4月2日 左が雀島)
2014年8月7日 ダイヤモンド富士もどき
2014年8月7日 ダイヤモンド富士もどき ちょっと雲が多かった
(日本一短い自然のトンネル富士にはならず)
(ユニークな方位盤 2011年4月2日)
なお、法華崎に行くには、電車を使う場合、富浦駅を下車して北に向かいますが、その時に、国道127号沿いにいけば、逢島歩道トンネルを抜けることになります。極めて微妙ですが、ここからはトンネル富士を眺めることが可能です。こちら をご覧ください。
(山旅倶楽部の地図を使用)
近くの大房岬は百景に選ばれています。
(大房岬展望台 2014年1月2日)
(大房岬展望塔 2014年1月2日 木立の上に富士山がしっかり覗く)
(大房岬第一展望台 2014年1月2日 方向的に富士山は見えない)
北条海岸手前の那古船形からは、漁港の近くからダイヤモンド富士を撮ることができます(2014年5月10日撮影)。右は大房岬のある丘陵。
北条海岸は、百景以外にも、「東京湾100選」、「日本の夕陽百選」にも選ばれています。ここに流れ込む平久里川の河口が鏡のように穏やかな時にはそこにかかる館山大橋の上から、逆さ富士を眺めることが可能です。
(北条海岸 2009年1月3日)
(館山大橋より 風が強く富士山も見えない日だった 2011年4月2日)
(橋のそばの標識 2011年4月2日)
館山の城山公園に上がれば市街地を俯瞰しその先に富士山を眺めることができます。ここからは2009年11月3日、富士山頂に満月がかかる「パール富士」を撮影することができました。前夜は激しい雨でしたが、晴天の特異日通りの好天になり、日の出の後に昇るパール富士になりました。ダイヤモンド富士と違い、月は満ち欠けがあり、また深夜や日中では富士山や月が見えなくなるので、タイミングが非常に難しいのです。ものがものだけにツキが必要です。
2014年5月16日には同じ場所から、ダイヤモンド富士を撮ることができました。富士山が見えにくい時期なので、貴重な1枚です。
(館山城山公園 2009年1月3日)
(館山城山公園 鳥居の先に富士山が見えていれば極めて貴重 2009年1月3日)
(パール富士)(2009年11月3日)
(ダイヤモンド富士)(2014年5月16日) 詳しくはこちら
  房総半島の最西端が州崎です。灯台と一緒の富士山が眺められます。ここには夕日が丘富士見台というピンポイントの富士見地名があります。
(州崎灯台と富士山 2009年1月3日)
(夕日が丘富士見台 2009年1月3日)
*房総丘陵と外房
 次に房総丘陵を見てみましょう。山頂部からはいずれもよく見えます。鹿野山鋸山(ロープウェイで上がれます。百景)、愛宕山(408m、千葉県最高峰、自衛隊の基地があるため許可が必要)、伊予ヶ岳富山など。
(鹿野山 2001年2月10日)
(鋸山より富士山と南アルプス。2009年1月3日。この日の南アルプスについてはこちら参照)
(鋸山展望台)
清澄山はすぐそばの天富神社の境内展望台が「神社と対面するように富士山が見られ」百景に選ばれています。国土交通章の「百景」の説明ページにある天富神社境内展望台からの写真は、その場所からのものではないので、要注意です。実際には杉の木立に邪魔されてわずかしか見えません。房総のお寺(1)清澄寺 というページに実写があります。
(天富神社 2014年1月2日)
(天富神社境内展望台 2014年1月2日)
(天富神社境内展望台 2014年1月2日 赤丸の場所に富士山が覗く)
 勝浦の近くに点在するポイントの一つがJAXA(宇宙航空研究開発機構)の勝浦宇宙通信所です。関係者が送ってくださったパラボラアンテナと一緒の富士山の写真(1995年2月2日撮影)が手許にあります。かなり貴重な一枚です。説明を含めてスキャンした画像が下です(そのため画質が若干低下しています。ご容赦ください)。
これには後日談があります。撮影された方は現在、鹿屋体育大学教授の.山本正嘉さんですが、当時は国際武道大学に勤務されていました。そこに、私のかつての同僚が異動しており、富士山が好きな教員がいるということで、山本さんが撮影された写真を送ってくれたのです。山本さんも山岳展望に関心を持たれていたからこその撮影でした。
ところで、撮影者の山本さんとは面識がありませんでしたが、かなり時間が経ってからお目にかかれる機会が生じました。2014年に東京新聞主催の富士山についての講演会が実施され、共に講師として出席していたのです。たまたま世間話の中で、この写真の撮影者、提供者が山本さんであることがわかったのです。びっくりしました。この写真のことはずっと気になっていましたが、直接の撮影者が分からず、送ってくれたかつての同僚ともやりとりをしなくなっていたので、公開することはせず、ファイルにしまい込んだままになっていました(書き方も「関係者」という曖昧な表現になっています)。
今回許可を得て、公表する次第です。山本正嘉さんに御礼申し上げます。(2014年8月記)
九十九里浜を経て、屏風ヶ浦の西端の刑部岬には展望館もあり、最近はダイヤモンド富士のポイントとしても注目されています。
(刑部岬展望館より)
そして富士山が見える東端が銚子のポートタワー。富士山からの距離198qです。人工物ではない自然の状態で最も遠い地点は長崎鼻の海岸で197qになります。千葉県出身の伊能忠敬は、精密な実測図を作成しましたが、富士山から37本の方位線が描かれています。その中で2番目に長いのが外川と結んだものです。当時の見晴らしの良さを証明するものでもあります。
(ポートタワー)
2月23日富士山の日頃に最東端のダイヤモンド富士になる場所でもあります。
(ポートタワー最東端ダイヤ 2004年2月23日
なお、愛宕山には「地球の丸く見える丘展望館」があります。ここからも富士山は見えます(犬吠埼からはこの愛宕山が邪魔をします)。念のため申し上げれば100mにも達しない高さで地球が丸く見えることはありません。水平線を丸くなっては水平線ではありません。詳しくは小著『知って楽しい山岳展望』「山からも海は丸く見えない!?」などをご覧ください。
(地球の丸く見える丘展望館より この写真には写っていない)(2012年1月5日)
1999年2月28日
*北部ほか
百景には「すいごうさわら」として水郷地帯からの富士山が選ばれています。香取市(佐原)には伊能忠敬の記念館や旧宅があり、小野川流域のよく保存された町並みも魅力的です。
成田空港は第1ターミナルビルの展望デッキから飛行機とのコラボが可能です。
北西部の野田市には屈指のビューポイントと言われる玉葉橋(埼玉と千葉を結ぶ)があります。やはり百景には「田園の地平線から突き出た富士山が見られる」と紹介されています。ここが最近話題になるのは冬至の前後にダイヤモンド富士になるからです。千葉県で見られる北限のダイヤモンド富士ということになります。2009年12月22日に撮影に行きましたが、橋を含め、江戸川の堤防上には沢山のマニアが訪れていました。
(玉葉橋ダイヤ)
南限のダイヤモンド富士も気になるところですが、千葉県の南限は日本全体の南東限でもあります。白浜町根本海水浴場(113q)で6月5日頃になります。習志野市の吉野宏さんが見事な証拠写真を撮られています。厳密には干潮時には渡れる御神根島が最南限になります。
(南限のダイヤモンド富士)(吉野宏さん撮影)
(御神根島 2011年4月2日)
  北西端の関宿には天守閣の形をした関宿城博物館があります。関宿は関東平野のほぼ中央に位置しており、最上階の展望室からは関東一円の山並みをぐるっと展望できます。南西125qの彼方にはもちろん富士山が見えます。ここの特徴はその天守閣と富士山のツーショットです。お城と富士山を一緒に撮れる全国でも稀な場所と言ってよいでしょう(百景)。
(天守閣と富士山のツーショット 2010年1月6日撮影)
ところで、臨海部では高層ビル、マンションが建ち並んでいるのは千葉県も同様です。その中で、屋上などが一般に開放されている希有な分譲マンションが市川駅前にあります。「アイ・リンクタウン展望施設」として、45階と屋上(160m)が展望ロビーや展望デッキになっています。ここからは富士山の右手にスカイツリーも眺めることができます。ダイヤモンド富士も可能なので、その当日2011年2月5日にNHKテレビの取材に同行しましたが、残念ながら曇天で、スカイツリーすらはっきりしない状況でした(2010年2月5日は雲付きでしたが、それなりのダイヤにはなりました)。。
 千葉県はダイヤモンド富士においても沢山の話題を持っています。
(アイ・リンクタウン展望施設より富士山とスカイツリーのツーショット。2012年3月1日撮影。この日はスカイツリー開業の翌日)
(アイ・リンクタウン展望施設より2010年2月5日
メモ
市川市里見公園のスカイツリーと富士山
浦安舞浜ホテル脇からのゲートブリッジと富士山
浦安からの富士山
千葉市と富士山
鎌ケ谷市  広報誌
千葉県 千葉県の富士見スポット
新発見 千葉県と富士山
柏市
表紙