富士山の最高地点の標高は3776.12m
2019年10月15日
2019年10月16日(大幅改)
2019年10月25日加
2019年10月26日加筆
富士山の最高地点は3776.12m
■■■二等三角点は3775.51m
 日本で一番高い場所(三角点以外の人工物を除く)はもちろん富士山頂の剣ヶ峯です。三角点の高さは3775.51mですが、それより少し離れた場所の露岩が真の最高地点で3776.12mです。
 メディアなどでこの真の最高点を正しく記しているものは少ないようです(3776.24mとしているものが多い)。
 四捨五入すればともに3776mではありますが、日本の最高地点をm単位ではなくcm単位で知りたいと思うのはおかしいことではないでしょう。
二等三角点標石(2001年7月31日撮影)
国土地理院の資料などを使いながら、3776.12mとなった経過をまとめました。
その前に!

 国土地理院は2019年年3月12日(火)〜6月30日(日)まで、つくば市の国土地理院「地図と測量の科学館」で、「高さってなんだろう?」という企画展を行っていました。その中に「富士山の高さ」というテーマもありました。展示内容はpdf資料として公開されています。富士山の高さについては、https://www.gsi.go.jp/common/000213098.pdfに説明があります。以下はその一部です。最高地点が3776.12mということが明記してあります。

 これで結論が出ているので、もう述べる必要はないのですが(^_^;)、資料紹介をかねてご説明します。
▲測量の経過を詳しく述べているのが、五百沢智也「山の標高にこだわる」 「へるめす」33号 岩波書店(1991年)です。以下がその一部です。富士山頂の確認作業は1989年に実施されています。
▲現在の二等三角点の高さについて
 基準点成果等閲覧サービスによる。
 1962年に3775.63mとされていましたが、2014年に3775.51mになりました。0.12m低くなったことになります(かろうじて四捨五入して3776mは維持しています(^_^))。
 2014年に「標高改算」されたのは、「三角点の標高を水準測量に整合した体系とするため」の措置でした。「約10万点について、標高成果を改定し」た一環でした。これについては、国土地理院のサイト「三角点の標高成果改定について」(2014年4月)をご覧ください。
▲露岩の高さについて
 1962年に設置された三角点の北約12mの露岩が最高地点で、3776.24mです。
 ここも同じだけ低下したと考えるのが妥当でしょうから、3776.24−0.12=3776.12m。従って現在の(2014年4月1日以降)富士山の最高地点の標高は3776.12mとなるわけです。三角点との差は61pです。
地図ではどのように表現されているか見てみましょう。
▲2万5千分1地形図「富士山」(実際より拡大しています)
 二等三角点3775.5mと、電子基準点3774.9mが記されています。最高地点の記載はありません。


▲地理院地図 オリジナルはズーム17 最大の18にすると三角点などが消えてしまうのでこれが限界です。
 2万5千分1地形図と違って、剣ヶ峯周辺には3つの標高が記してあります。見づらいので拡大してみます。
 赤丸をつけた箇所に注目してください。指示点があるのがわかります。実はこれが示している数値が3776なのです。3775.5を示しているように見えますが、それは三角点なのです。この指示点が日本で一番高い露岩の場所なのです。
 ただし、「測定点」のため、地理院地図上での表記はm単位になります。従って、地理院地図の上からも、3776.12mという値は知ることができません。
 ちなみに露岩の位置を地理院地図の計測機能で測定してみました。三角点の中心点と、測定点を測ります。微かに赤い線があるのがわかるでしょうか。その値は12m。なかなか正確ではありませんか!
2019年10月25日加筆
地理院地図の「自分で作る色別標高図」の機能を使い、剣ヶ峯周辺を示してみます。
ズーム17
黒く見える部分が三角点とその北側の露岩でしょう。
ズーム18(最大縮尺)に拡大します。
確かに、最高地点の所在が確認できます。
▲参考サイト
 国土地理院中部地方測量部「測量に関するミニ知識」「第4回 標石基準点について」において、最高地点についての詳しい説明があります。最後の方で「実は、富士山の最高地点は、三角点の位置から北へ約12mのところにある岩で、その標高をレベルにより正確に測ると3776.2mです。」と書いてあります。これは、東北地方太平洋沖地震の影響を考慮していないので、3776.1mになったという注釈or訂正が必要ではないでしょうか。
 
 ウィキペディアをはじめ多くのサイト等は、富士山の最高地点の標高を3776.24mとしています。それは正しくありません。
 地形図や地理院地図、国土地理院の「日本の主な山岳標高」のサイトなどで、3776.12mが表示されることはありません(冒頭の資料は貴重な例でしょう)。そのためもあってか、この値は十分に知られていないようです。山岳関係のメディアなどは是非このことを理解していただきたいと思います。
参考資料 富士山の標高の変遷
上記 国土地理院企画展資料より
大成建設による測量
 富士山頂のレーダー建設を行った(1964年完成)ことで知られる大成建設が、1993年、麓から直接水準測量による実測を行っています。その結果、二等三角点は3774.97m!四捨五入して3775m。富士山が1m低くなります。但し、露岩は0.61mあるので、四捨五入すれば3776mは維持できます(^_^)。文献などを紹介します。
 なお、富士山頂のレーダー建設を題材にした小説が新田次郎の『富士山頂』で、それをもとに映画も作成されています(1970年)。NHKのプロジェクトXの第1回放送もこれがテーマでした(2000年3月28日放送)。
●地図の散歩道 2013年7月17日 富士山の高さより(最後の段落)
1993年に、大成建設が富士山麓の水準点から、20〜30m毎に高低差測量を行う直接水準測量を50日かけて行い、3774.97mという値を出しています。これだと富士山の高さは3,775mとなります。測量方法に拠って高さは多少違ってくるようです。なおこの測量記録の映画「富士山を測る」が1994年の土木学会第16回映画コンクール準優秀賞や科学技術映像祭長官賞を得ています。
●数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」: 地図と統計でみる意外な実態 より
●「朝日新聞」1993年9月25日夕刊「富士山65p低かった」
※小ページをまとめるにあたり、貴重なアドバイスをくださった関係者の皆様に御礼申し上げます。
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